一年の間にいろんなことが

『涅槃会』今年の初めての法要が始まります。今年も雪国の厳しい寒さを実感しています。
禅散策とホームページの更新が遅れていましたこと申し訳ありません。平成二十四年もあっという間に過ぎて、いろんなことが有りました。私事では有りますが、平成23年から、曹洞宗新潟県の人権主事の仕事をさせて頂いております。現代のいろんな問題を曹洞宗と言うお教えの中にてどう取り組んで解決していくのか、一言で人権といっても難しいです。一年間に三万人いる、自死の問題、今も続いているいじめの問題など多方面渡ります。震災でおきた福島の原発の問題も大きな人権問題です。今どの様に取り組まなければいけないのか、考えさせられます。宗門では毎年禅師様の告諭が発せられます。その中で道元禅師の言われた、四摂法の「布施」「愛語」「利行」「同事」がよく取り上げられます。この中の『同事』こそ、いまの福島の問題や人権のあらゆる問題の解決の糸口ではと思います。自他との区別なく他に起こった事は、自に起こったこととして捉え、『布施』、『利行』、『愛語』の菩薩行を行えれば、この世の中に、争いも、差別も、他を陥れることも、ましてや、自の欲得によって他を疎ましく事はなくなるでしょう。今は、家族であっても、親子であっても、自分の思い通りにならないから、自分の得にならないからと親や子を傷つけてしまう。そんな事は起こらないでしょう。この前、新潟県の各市町村で震災の瓦礫を受け入れに反対している姿が報道されていました。この震災の瓦礫は自分の瓦礫として、こんな時こそ助け合わなければと思います。確かに放射能の問題もあります、しかしながら、今、他に起こった事は、自にも起こったこととして自他の区別なく助け合わなければと思います。
お釈迦様の言葉に「天上天下 唯我独尊」という言葉があります。唯我独尊というと「世の中で自分ほどえらいものはいない」という間違った意味で使われがちです。本当の意味はそうではありません。 本当にかけがえのない自分のこの命、他に変えることの出来ないこの命と同じように天上天下すべての命はこの尊い自分の命と同じそれぞれに尊い命なのだという意味です。
いのちはそれぞれ代えることが出来ない大切な尊いいのちで、自のいのちも他のいのちも天上天下すべてのいのちが、自のいのちと同じく尊いのだと言うことです。
「涅槃会」の後は4月8日「釈尊降誕会」です。花まつりです、誕生佛にお参りして、お釈迦様のお教えに触れてみてください。すべてのいのちがかけがえのない自分の命と同じいのちだと気づいたら、自と他を区別することなく、すべてのことに感謝できるかもしれません。

合掌